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コロイド分散系とは,nm~μm程度の粒子が溶媒中に分散した系を指し,気体・液体・固体微粒子の懸濁液,タンパク質溶液,エマルジョンなど,ソフトマター物理,生命科学が対象とする系を広く含む。コロイド分散系の動的過程を数値シミュレーションによって予測することは,ソフト・バイオマターのレオロジー特性,パターン形成,自己組織化の理解・制御のために,極めて重要な課題である。しかしながら,この過程で,サイズの大きく異なる構成要素(コロイド粒子・溶媒分子)の運動が,運動量保存則を満たすように複雑に絡み合う。言い換えれば,コロイド間に,分散媒である液体の運動を介した,多体的な流体力学相互作用が生じる。この複雑さのため,コロイド分散系のダイナミクスのシミュレーション手法として,決定的なものは得られていないのが現状であった。 流体力学的相互作用を取り入れたコロイド分散系のモデルは,1978年のErmakとMcCammonの試み1)に始まる。これは,溶媒の運動の寄与をコロイド間に働く相互作用テンソルに縮約し,コロイドの運動の時間発展のみを取り扱う手法で,広くStokesian Dynamics法2)として知られる。このテンソルの多...
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