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不凍タンパク質(AFP:antifreeze protein)は過冷却状態を安定化し,水の凝固点を降下させる天然物質である。最初のAFPは1969年に南極海に生息するノトセニア科の魚類から発見された。一般的な真骨魚類の体液の凝固点が-0.7℃であるのに対し,海水の凝固点はおよそ-1.9℃である。AFPはこの差を埋める働きをすると考えられている1, 2)。極海に加え,極地の森林,湖沼,土壌等に生息する耐凍生物の生命維持に大きく寄与しているのがAFPである。近年では,より低緯度の魚類,昆虫,菌類からも種々のAFPが発見されており,国内では北海道に生息するカレイ,ワカサギ,コムギ,担子菌,トビムシ等からAFPが見つかっている1)。 こうした生物種からのAFPの探索に加え,AFPの構造や凝固点降下の機構解明さらにはAFPを利用した応用技術など様々な研究が現在展開されている3, 4)。本稿では過冷却安定化のメカニズムを中心にAFPの特異的機能を紹介する。 ...
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