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2019年は近未来,すなわち2030年あるいは2050年頃における社会の姿を想定し,予想される状況にどう備えるのかという思考が世界的に一段と強まった。これは2020年という年――つまり10年後には2030年となり,30年後には2050となる年――が目の前に迫ってきたことが大きな理由となっている。2015年におけるパリ協定では,産業革命以降の地球の平均気温の上昇を許容範囲(1.5℃未満)に抑えるため,世界全体での温室効果ガス(GHG)の排出量を今世紀の中頃までに(今後30年程度のうちに)実質ゼロにしなければならないことが示された。パリ協定に合意した各国は,中間年である2030年までのGHG削減目標を示した(日本は2013年度比26%削減)。同じく2015年に国連サミットで採択された持続可能な開発目標(SDGs)の17の目標(ゴール)を達成するのも2030年である。 一方,ビッグデータ活用と人工知能(AI)の進歩,あるいは5G,6Gといった次世代情報通信インフラの整備などにより,人類は誕生以来で最大級の社会変化を経験すると言われている。そして,AIの能力が人間を超える技術的特異点(シンギュラリティ)を2045年...
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