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窒素は核酸やアミノ酸などの生体分子の主要構成元素として知られているが,その源は大気中に無尽蔵に含まれる窒素ガスである。窒素をアンモニア塩として固定化する代謝は「窒素固定」と呼ばれ,年間2.6億トンの窒素ガスが微生物によりアンモニアへと固定化されている1)。窒素固定をおこなう微生物としては,マメ科植物に共生する根粒菌や土壌に分布するアゾトバクター,光合成をおこなうシアノバクテリアや緑色硫黄細菌,古細菌であるメタン生成細菌などが知られており,いずれもニトロゲナーゼと呼ばれる窒素固定を媒介する酵素を有している。典型的なニトロゲナーゼ内にはモリブデンと鉄を含む硫黄クラスター(鉄モリブデン補因子)が存在し,ここを活性中心として,呼吸や光合成などで生産された電子伝達体を還元剤,pHが調整された細胞内水をプロトン源として利用することで,窒素ガスがアンモニアへと変換される(図1)2)。ただし反応の進行には還元剤の倍の量のATPの消費が必要であり,還元剤の一部はプロトン源と直接反応して無駄に水素ガスが生成してしまうなど,かなりエネルギー負荷が大きい酵素反応であり,ほとんどの生物は窒素固定の能力を失い,食物連鎖を通じて他の生物の...
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