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高分子材料は現代社会を支えるための最も重要な材料の1つである。その高分子材料を,溶融し鋳型や金型に流し込み所望の形状に成形する工程では,高分子流体の流動予測と制御が不可欠である。現在ではカーボンニュートラルの観点から,高分子材料を無駄なく効率的に製品へと変換する必要があり,その基盤となる知見の蓄積が喫緊の課題である。しかし,高分子流体は粘性だけでなく弾性も示し,その内部構造により流動予測が困難な複雑流体に属する。その流動挙動は分子構造や分子運動と強く相関する。よって流動予測に当たり,分子量や分岐構造といった分子鎖の特徴から統一的に流動特性を解釈することが望ましい。だが現状では,典型的な条件下の実験や現象論的なモデルによる解析に基づく間接的な理解に留まっている。 このような状況から,ミクロスケールの分子情報とマクロスケールの流動現象の関係を統一的に理解し,予測することを目的として,我々の研究グループでは,マルチスケールシミュレーション法(MSS法)と呼ばれる方法論の研究を進めている1-7)。我々の手法では,ミクロな分子シミュレータをマクロスケールの流体要素に割り当て,階層の異なるダイナミクスを同時に解く。この...
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