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マテリアルズ・インフォマティクス(MI)は,材料データとAI・データ科学を活用した材料研究手法で,他分野のバイオインフォマティクスやケモインフォマティクスより遅れて2010年代から急速に発展した。米国では2011年にマテリアルズ・ゲノム・イニシアティブを立ち上げ,オバマ大統領(当時)が材料開発の速度を2倍に加速すると宣言した。ヨーロッパやアジアなど世界各国でも同様の研究プロジェクトが推進された。材料開発の加速は産業競争力に直結するため社会的関心が極めて高く,産学官を巻き込んだ精力的な研究により,新しい研究分野が切り開かれた。 MIの初期(2010年代前半)は,計算シミュレーションが主導的な役割を果たした。特に,構造や組成を変えたハイスループット第一原理計算による物質探索がおこなわれ,得られた計算データのリポジトリ化が進められた。その後は徐々にAI・データ科学の活用に注目が集まり,機械学習モデルを用いた高速スクリーニングや材料記述子の研究がおこなわれた。また,実験データを用いたMIが進展した。材料開発には,新規物質の探索,化学ドープによる組成最適化などの周辺探索,高次構造や微細組織の最適化など,物質探索から材...
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