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科学技術は,新たな技術の革新や新製品の開発等を通して,私達の生活を,より安全に,より便利に,より快適にするとともに,新産業の創出や市場の拡大を推進し,経済の発展を促してきた。そして,科学技術の成果である発明を保護する特許制度は,その排他的独占権という特徴のゆえに,研究開発者の発明意欲を刺激し,産業の発達に寄与してきた。米国合衆国第16代大統領リンカーンは「特許制度は,天才の火に利益という油を注いだ」という名言を残している。 合成化学繊維のナイロンを例に取ると,米国の有機化学者であり,デュポン社の有機化学部門のリーダーであるウォーレス・ヒューム・カロザースが1935年にナイロンの合成に成功した。デュポン社は,ナイロンに関する特許権を取得し,女性用ストッキングとして販売し,爆発的な人気商品となった。これによりデュポン社は多大な利益を得た。 また,合成化学繊維に関する研究開発が進み,アクリル,ポリエステルと,次々と優れた発明が生み出されていった。このように,特許は,企業を成長させ,研究開発を促進させ,産業を発達させるのである。 本連載では,化学工学研究者を対象に,特許の制度,特許権の取得方法及びビジネスへの適...
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