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化合物等の物性の予測は,実験結果の予想や研究の指針に活用できるという点で魅力的である。古くは,Hildebrandの溶解度パラメータが知られている。また,ソフトウェアで利用できる疎水性(log P)やNMRスペクトルの予測については簡便であり,筆者も度々利用している。近年では,こういった分子の物性や分析結果の予測の高精度化のために,量子化学計算や分子シミュレーションを導入した手法の開発も進められている。こういった予測ツールは実験系の研究者である筆者にとっては,ぜひ利用したいものである。 量子化学計算には第一原理計算や密度汎関数(density functional theory:DFT)法と呼ばれる手法があり,分子の最適化構造,原子電荷,分子軌道,分光スペクトル等が計算可能であり,個々の分子を計算対象とすることが多い1)。分子シミュレーションは,古典力学を基礎としていることから,1分子当たりの計算コストが低くなる。数百〜数万原子からなる分子系を扱うことができるため,多分子を計算する際に利用される1, 2)。 これらの計算方法を組み合わせて,実験的に得られた情報を用いずに有機分子の結晶構造を正確に予測すると...
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