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第1回でも述べたように,産業の発達に寄与する一定のレベル以上の発明にのみ,排他的独占権を与えるべきであるというのが,世界共通の認識であり,この一定のレベルを示したのが特許要件である。特許庁の審査官は,特許出願1件毎に,出願された発明が全ての特許要件を満たしているかどうかを審査して,合格したものだけに特許権を付与している。 第1回では全ての特許要件を示したが,通常の審査では,a)新規性,b)進歩性及びc)明細書記載要件が,拒絶理由の主たる要因となっているので,この3点について,以下少し丁寧に解説をおこなう。 a)新規性 新規性の判断は,特許請求の範囲に記載された発明と,引用する先行技術とを対比して,相違点があれば新規性あり,相違点がなければ新規性なしと判断する。この時,特許請求の範囲については,最も広い範囲を意味すると解釈する。 例えば,本願発明の具体例が「ポリエチレン」樹脂を含有するトナーであったが,広い権利が欲しいと特許請求の範囲を「高分子」樹脂を含むトナーとした。これに対して先行技術として「ポリプロピレン」樹脂を含有するトナーが発見された。このケースでは,「ポリエチレン」樹脂と「ポリプ...
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