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生物は,進化の過程で様々な構造や機能を分子レベルから巨視的なレベルまでの広いスケールで獲得してきた。生物の持つ優れた機能を明らかにできれば,バイオミメティクスの実現に結びつく。例えば,オーストラリアの砂漠に生息しているモロクトカゲの皮膚には,円錐状の放射線状の溝構造があるトゲが無数にあり,その溝が皮膚の様々な場所から口へと繋がっているため,毛細管現象により皮膚を介して水分が口まで輸送される1)。水不足の地域では,この毛細管現象を利用して空気中の水分を捕集するシステムが考案されている。毛細管で液体を輸送する際,水のような低粘性液体では圧力は不要なのに対し,オイル等の高粘性液体となると粘性抵抗が顕著に現れ,流路内を自発的に輸送することは困難になる。自然界の生物や植物は,生存のために多様な手法で,水分のみならず粘性の高い養分や油分を省エネルギーで取り込んでいる。その実態は,輸送流路内部に微細構造や組成の違いを生み出す表面があり,その構造の持つポテンシャルエネルギーのみで高粘性液体の高効率輸送を実現している。このように,微細構造の持つポテンシャルエネルギー駆動によるポンプレスな液体操作は,省エネルギーで高効率に高粘性...
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