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内燃機関は,一般的にシリンダーなどの機関内において燃料を燃焼させ,燃焼エネルギーをピストンの往復運動により機械的な動力に変換する原動機である。内燃機関は汎用性の高さから,自動車,建機,農機,船舶など非常に幅広く産業利用されている。おおよそ数ミリ秒で完結するピストンの一往復(1回の圧縮と膨張行程)の間に,シリンダー内の温度は大気温度近傍から最大で1,500〜2,000 Kまで,圧力は大気圧付近から数十気圧まで大きく変化する。基本的に燃焼反応は圧縮工程から膨張行程に移行する間に起こり,膨張に伴う急激な温度低下により燃焼ガス組成は非平衡に保たれる。1分間に数百から数千回転に及ぶ処理量の多さと,温度・圧力のダイナミックな変化,そして気体を非平衡で取り出せるという内燃機関が備えている特徴は,既存の化学プロセスに用いられる反応器には見られないものであり,内燃機関の特異的な性質を反応器として応用する研究がこれまで試みられてきた。本稿では,内燃機関を動力源とみなす従来の用途ではなく,化学反応器としての利用について概観した後に,筆者らの研究例を紹介し,最後に反応器としての内燃機関の今後の展望について述べる。 ...
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