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高分子材料は,プラスチックに代表される硬質材料から,ゴムやゲルのような柔軟性を特徴とするものまで幅広く存在し,その動的物性は,構造や環境によって大きく変化する。その動的物性を理解し,精密に制御するには分子スケールのダイナミクスを幅広い時間スケールで評価することが極めて重要である。ここで紹介するX線光子相関分光法(X-ray photon correlation spectroscopy,XPCS)は,そうしたダイナミクスを計測する有力な手法の1つである1)。X線散乱手法を用いる利点は,微視性,透過性,非接触性などが挙げられるが,高分子材料のような階層構造を持つ系においては,空間依存の情報を取得できることも大きな有意性を持つ。すなわち,散乱X線を角度依存で検出することで,様々な空間スケールでの情報を得ることができる。 また,ダイナミクス計測では運動の速さが注目されがちだが,その均一性(不均一性)も重要な要素である。XPCSでは平均的なダイナミクスだけでなく,刻々と変化するダイナミクスを実時間スケールで評価することも可能である。以下で,XPCSの概要と応用例を紹介する。 ...
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