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私は現在,中空糸を用いた初代肝細胞に関する研究をしている。肝細胞を中空糸に充填した三次元培養において,様々な条件下での生存率を検討することで,肝再生医療に応用できる高機能な肝細胞の大量培養を可能にしたい。 本稿を書くに当たり,過去の先人の前例に倣い,まず私と化学工学との出会いについて振り返ると,高校1年時の生物基礎の授業中に『NHKスペシャル 驚異の小宇宙 人体』という番組を見たことが全ての始まりだと言える。肝臓の100日間の機能を完備した施設を人工的に作ろうとすると,東京都の面積以上の敷地面積を持つ化学工場を作ったとしても,発生した3,000 tもの廃棄物の処理が間に合わない。それなのに私たちの持つ肝臓は,たった1.5 kg程度の臓器でありながらその全てを担っているというのだ。無論,肝臓の多機能性は周知の事実である。しかし,多機能性を分かりやすい指標で示され,且つ世界中の研究者をもってしてもこの多機能性は未だ全て明らかになっていないという事実に直面し,非常に驚いたと同時に,私が肝臓の謎を解き明かしたい,と強く思った。これは圧倒的に文系科目が得意であり,漠然と自分は文系に進むのだろう,と思っていた私の理系進...
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