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近年,フォトレドックス反応が有機合成の強力なツールとして注目を集めている1)。これは,光触媒存在下,可視光を照射して反応をおこなうことで,一電子移動を介して反応性の高いラジカル種を緩和な条件下で発生させ,多様な結合形成反応に利用する手法である。結果,sp3炭素同士のクロスカップリング,C-H官能基化,フッ素の導入反応など,これまでは難しかった結合形成が可能となっている。 フォトレドックス反応は,特に創薬領域での活用が進んでいる。例えば,反応は緩和な条件下で進行するため,活性のある薬剤の母核を保ちながら化合物特性が変わる官能基変換を合成終盤でおこなうLate-Stage-Functionalization2)にも適用でき,新たなケミカルスペースの開拓のみならず,創薬研究の効率化にも貢献している。 この時,創薬研究における目的物の必要量は少量であるため,バッチ法でも問題なく合成できるが,一般的にバッチ法でのスケールアップは困難とされている。これは,ランベルト・ベールの法則に従う光の液深に対する指数関数的な減衰のため,フォトレドックス反応をはじめとする光化学反応は基本的に光源に近い表面でしか起こらないためである...
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