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細胞の凍結保存は臨床医学やバイオテクノロジーなど,多くの分野で中心的な技術となっている。本来,凍結耐性を全く持たない動物細胞などでは,冷却速度が極端に遅い場合,細胞生存率は限りなくゼロに近い。これは細胞内外の浸透圧差により,細胞内に存在する水の大半が脱水され,細胞が激しく損傷を受けるためである。このような細胞においても,冷却速度が増加していくと,脱水量が減少するため,細胞生存率は徐々に増加する。しかしながら,更に冷却速度が増加すると,脱水量の大幅な減少に伴い,細胞内に巨大な氷晶が形成され,細胞を著しく損傷するため,生存率は減少に転じる。一方で,冷却速度が極端に大きくなると,細胞内水がガラス化し,氷晶が形成されないため,生存率は再び上昇する。このように,Mazurは凍結における細胞損傷を「脱水」と「細胞内氷晶形成」の2つの因子に分けて考えることで,冷却速度と細胞生存率の関係が図1のようになることを発見した1)。 ...
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