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我が国は2007年に超高齢社会(厚生労働省による定義:65歳以上の高齢者の割合が人口の21%を超えた社会)へ突入し1),10年以上が経過している。国内における高齢者向け食品の市場規模は1,000億円を突破し,潜在的な市場規模はその数倍以上と言われている2)。行政においても例えば農林水産省では,「スマイルケア食」として,咀嚼(そしゃく:嚙み砕くこと)・嚥下(えんげ:飲み下すこと)の観点から高齢者食品を分類し認定する取組みが始まっている3)。それらを踏まえ,食品産業の未来に向けた付加価値として,著者は嚥下の先である胃小腸での消化に着目している。 食品はまず口腔内で咀嚼により微細化され,唾液と混合されて食塊(しょっかい)となる(図1)。胃に送達された食塊は更に微細化されると共に,胃液と混合されて糜粥(びじゅく)となり,小腸へ排出される。糜粥は小腸にて更に消化を受ける。消化液中に放出された親水性の栄養成分は可溶化し,小腸壁から体内へ吸収される。疎水性の栄養成分は消化液中に放出後,胆汁によりミセル化した上で同様に吸収される。このプロセスは,化学工学の視点で見れば,粉砕,混合,反応,分離等の単位操作の集合と考えることが...
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