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プロセス制御は成熟した技術分野であり,新しく輝くような話題と挑戦的な研究開発テーマに乏しい。先駆者がトップダウンでコンセプトを打ち出し,多くの人がそれに共感して技術開発に挑戦していく大きな潮流は,もはや期待できないだろう。また,プロセス制御の現場を担う専門部署は,エンジニアの世代交代と業務の効率化に直面しており,専門技術の伝承と人材育成という課題を抱えている。それでも,産業界の現場におけるプロセス制御の重要性はなんら変わらない1)。 本連載では,プロセス制御の根幹をつかさどるPID制御(Proportional-Integral-DerivativeControl)の基礎と応用について実用性を重視して解説する。想定した読者は,現場でPIDコントローラを取り扱うことが多いにもかかわらず,PID制御について体系的に学ぶ機会に恵まれないプロセスエンジニアである。 プロセス制御対象の90%以上がPIDコントローラにより制御されている2)。PID制御システムを設計・実装し,調整・運用することは,プラントオペレーションの土台であり極めて重要である。本連載では,プロセスエンジニアがこの作業を適切におこなう上で必要な事項...
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