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近年,循環型社会の構築のための技術開発が進められているが,その中でバイオマスの有効利用は欠かせない技術である。バイオマスの構成成分の一つであるセルロースは私たちの生活に欠かせない材料であり,量も豊富な持続可能性を有する資源で,材料原料やエネルギー資源などとしての利用が可能である。一方,超臨界流体の中でも超臨界二酸化炭素や超臨界水は環境負荷の少ない溶媒を超臨界状態にして用いることから,グリーン溶媒の一つとしてその利用法が数多く研究されている。本稿では,超臨界二酸化炭素を反応場としたセルロースの材料創成に関する最近の研究例を紹介する。 セルロース材であるセルロースナノファイバーやセルロースナノクリスタルは,木材などから採ることが可能な材料であり,ガラス繊維などの代替として樹脂の補強材など,構造材としての利用が期待されている。Liら1)は,超臨界二酸化炭素と酵素糖化の組み合わせによるナノセルロースの製造を試みている。酵素糖化によりセルロースのアモルファス領域を還元糖まで分解することで,結晶領域をナノセルロースとして回収することができる。反応温度50℃,大気圧条件で24時間,リン酸水素二ナトリウム+クエン酸バッファ...
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