※ 検索ワードを区切るスペースは半角でお願いします。
筆者は,農学分野(正式には生命環境系)に所属して,主にコロイドの分散凝集について研究している。コロイドとは数nmから数μmの小さな粒子が水などの媒体中に浮遊懸濁した分散系のことを言う。コロイドと聞くと,半透膜,チンダル現象,ブラウン運動,凝析,塩析,電気泳動などの用語を高校化学で習ったことを思い出す方も多いと思われる。そのため,コロイドは化学の一分野としての印象が刻まれ,農学や化学工学との関わりは薄いように感じられるかもしれない。しかし,土の重要な構成成分である粘土,マヨネーズやヨーグルトなどの食品,林産分野で研究が盛んなナノセルロースなど,農学や化学工学で対象とするものの多くはコロイドあるいはコロイド粒子であることに気付く。 また,単に対象とするものがコロイドであるということに留まらず,コロイド界面科学の中でも重要な位置を占める現象である,イオン交換と電気泳動は土を対象とした実験から発見された歴史的事実がある1-3)。特にイオン交換現象は,当初,化学の大御所から異端視され,土壌学において粛々と研究が継続された。現代社会におけるイオン交換や電気泳動の発展と普及を考えると,農学が対象とする土を通した研究に端を...
お気に入りから削除しますか?