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熱交換器やエンジン,モーター,CPUなどの冷却において,多くの場合,高い熱伝導性を有する壁面と流体の間で熱伝達がおこなわれ,乱流状態にすることで更なる伝熱促進を図る。「この乱流を制御すれば,一体どこまで伝熱性能を高めることができるだろうか?」一般に,乱流状態であっても,固体壁面近傍では流速は遅くなり,対流熱伝達よりも熱伝導が支配的となる熱伝導層があるため,壁面熱流束は流体の熱伝導率に依存する。もし,壁面熱流束が流体の熱伝導率に依存することのない乱流状態を実現することができれば,通常の乱流熱輸送に比べて極めて大きな熱伝達率を達成することができる。このような乱流状態は“究極”の熱伝達状態と呼ばれる。究極状態の実現は熱流体工学における最大の目標の一つであり,伝熱機器の性能を飛躍的に向上させることができると期待される。しかしながら,その実現の可否については長い間議論が続いている。 究極状態は自然熱対流(レイリー・ベナール対流)の研究において活発に議論がおこなわれてきた。究極状態では,鉛直方向の無次元熱流束であるヌセルト数Nuと浮力の強さを特徴付けるレイリー数Ra,および流体の温度拡散率と動粘性率の比であるプラントル...
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