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本稿では,まず感染症の歴史を概観するため約100年前に流行したスペインインフルエンザに着目し,当時の人々がどのように対応したのかを紹介する。その後,前の記事でご紹介いただいたウイルス不活性化(消毒)を効果的におこなうための化学物質について説明する。合わせて,感染予防に役立つ化学工学関連技術を紹介する。 スペインインフルエンザは1918年3月頃から1920年頃まで全世界で流行し,多くの被害をもたらした1)。日本では1918年8月下旬から流行が始まった2)。当時,内務省衛生局が「流行性感冒予防心得」を発表し,マスク着用やくしゃみ時に口を覆うことなどを推奨した。人々が日常的におこなう感染予防策は,マスクをすることや咳エチケットにとどまっていた3)。これは当時,消毒用アルコールの供給が主に医療用に限られており,広く一般市民には入手・使用が困難だったためと推察される。翻って現在(本稿執筆時点)では,アルコールの入手は比較的容易である。人々の日常的な感染症対策として,アルコールや界面活性剤などの化学物質を使用した消毒および手洗いが可能となっている。この100年の違いを俯瞰すると,化学工学が大きく進歩し社会的に重要な化学...
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