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イオン液体(Ionic Liquid)は,アニオンとカチオンの組み合わせからなる常温・常圧で液体状態をとる有機塩である(図1)。低揮発性,難燃性,高い熱的・化学的安定性など,水や一般的な有機溶媒にはない特徴を有するイオン液体は,構成イオン種の調整により溶媒特性を変化させられるという高いデザイン性もあり,幅広い研究分野から多くの注目を集めている。実際,これまでに,有機合成の反応場1),リチウムイオン電池の電解液2),ガス分離・回収プロセスにおけるガス吸収溶媒3)としてなど,多岐に亘る応用例が報告されている。分離・分析の分野においては,本特集で取り上げているようなガスクロマトグラフィー(Gas Chromatography,GC)や高速液体クロマトグラフィー(High Performance Liquid Chromatography,HPLC)に対して,その固定相や移動相としてイオン液体を利用する報告4)がある。特筆すべき例の1つとしてキラルイオン液体を用いた光学分割があり,これは,HPLC固定相として光学活性を有するキラルイオン液体を担持することで,光学異性体の分離に応用するアプローチ5)である。  ...
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