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クロマトグラフィーにおける実験を検討するにあたり,対象溶質を効率良く分離するためには,充填カラムの固相部分に相当する固定相と,カラム空隙部分に相当する移動相においての機能や特性を本質的に理解することが肝要である。この平衡論と速度論が交差する問題を効率良く解くために,化学工学的アプローチは極めて有用である。つまり,物質収支を満足しつつ,固定相と移動相の間で生じる吸脱着現象や輸送現象を,平衡論や速度論の観点から化学工学的に解き明かせれば,従来の経験則に依存したプロセス設計からの脱却を図ることができる。将来的にはその発展形として,DX(デジタルトランスフォーメーション)などを駆使した低コストで省エネルギーな分離予測シミュレーションの出現にも期待が集まる。 このような背景の下,『Excelで気軽に化学工学』1)によれば,クロマトグラムを数学的に表現する理論モデルとして「完全混合槽列モデル」や「移流拡散モデル」が紹介されている。前者は,クロマトグラフィーの現象について,単段の完全混合槽がカラム軸方向に連なった槽列として抽象化しているのに対し,後者は,溶質が系内にパルス的に添加された後の移流と拡散によるクロマトピークの...
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