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液体の物性や反応性を制御する基本的な手段として,圧力変化は古くから用いられている方法の1つである。よく知られている例として,超臨界流体が挙げられる。臨界点付近では少しの圧力変化で,流体の物性が大きく変化する。温度変化による方法との違いは,熱的寄与なしに分子間距離を変化させることができる点にある。そのため,物性に加えて,構造変化の研究に有用である。 本特集の対象であるイオン液体は,イオンのみから構成されているのにもかかわらず,100℃以下に融点を持つ塩(室温で液体状態を示す塩は“室温イオン液体”という)であり,物性的にもいわゆる通常の分子性液体と比較して非常にユニークである。例えば,液体でありながら,ほぼ蒸気圧がゼロであることや,熱安定性の高さ,不燃性,高イオン伝導性,様々な物質の高い物質溶解能,広い電位窓などの特徴がある1)。これらの特徴から当然,電池などの電気化学デバイスなどへの利用がまず考えられるが,ある種のイオン液体はセルロースを穏和な条件下で溶解可能であることから,新規機能性溶媒としてグリーンサステイナブルケミストリー分野で注目されている2)。そのほか,電子顕微鏡観察の導電付与剤(試料が濡れたままの...
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