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金属生産工学分野は化学工学会ではあまり馴染みがないかと思うが,実は化学工学と関係が深い分野である。特に,金属生産工学分野における移動現象論を扱う研究者は化学工学から金属生産工学へ参入した人が多い。鉄鋼分野を始めとした金属分野では大規模な生産設備を取り扱うため,ラボスケールの水や低融点金属を利用したモデル実験を利用して相関式を作成し,相関式を基に設備構造を決定し,スケールアップに役立ててきた。これは,従来,化学工学で用いられてきた手法と同様であるが,溶融金属は高温不透明液体で直接観察が難しいため,一層重要視されてきた。また,現状では,上記のような移動現象論を用いた生産設備開発は生産量の多い金属に限られている。ここでは,金属生産分野における移動現象論に関する研究を振り返る。 鉄鋼分野では移動現象論を用いた研究が非常に多い。鉄鋼プロセスでは鉄鉱石の焼結,コークス炉における乾留,高炉による鉄の還元,溶銑予備処理,転炉における不要元素除去,二次精錬による脱不純物や成分調整,連続鋳造までと多くのプロセスで移動現象が必要となる1)。これらのプロセスでは燃焼,固気液混相流,溶融凝固,物質移動,分離等の現象を取り扱うことにな...
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