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膜型反応器は,反応器と膜分離を組み合わせた反応分離プロセスであり,生成物を系外に引き抜き,平衡をシフトさせることで反応率を向上させることができる。化学産業においては,水素選択透過膜を用いた炭化水素の脱水素反応による水素製造や,水選択透過膜を用いたエステル化反応などへの応用が検討されている。第51回秋季大会においても,「プロセス強化を目指した膜反応器研究の最前線」と題したシンポジウムが開催され,膜開発から応用まで幅広い講演がおこなわれ,活発な議論が展開された。この中で言及されたのは,化学産業で膜型反応器を実用化するには,対象とする反応の反応条件下で充分な機能と耐性を有する膜が不可欠であるということであり,この点において機能と耐性の両面に優れる無機膜に期待されるところは大きい。本稿では,筆者の研究分野に近い多孔性シリカ膜について,近年の研究報告を紹介したい。 シリカ膜は,シロキサンの三次元的なネットワーク構造が作る微細孔を持つ分子ふるい膜であり,細孔構造を制御することで,様々な分離系で選択的透過を実現することができる。シリカ膜の開発においては,細孔径制御と共に,水熱安定性の向上も重要な研究課題であり,シリカネッ...
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