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2016年ノーベル化学賞を受賞した「世界最小の機械:分子機械」は,近年ではオングストロームからマイクロサイズへとスケールアップし,感覚,演算,運動といったロボットの要素技術も実装されつつある。特に,生命の構成単位である細胞にインスパイアされた機能・構造の構築に焦点をおいた人工細胞1)の研究は,国内外の生物物理学会で大きなプレゼンスを占めている。 人工細胞の構築・制御に最適な素材は,DNAである。生体親和性が高い上に,プログラマブルに4種類の塩基(A,T,G,C)からなる配列を設計できることから,しばしばDNAが人工細胞の素材として選択される。 現在,人工細胞研究で新たな注目を集めているのが,膜を持たない化学反応場(リアクタ)をDNAから構築する試みである。生物の細胞膜では,両親媒性であるリン脂質の二重層が,親水部を膜内外の水相に向け,疎水部を膜内部で向き合わせることで,筐体を安定させている。このような膜あり筐体(リポソーム)をリアクタとする手法は,いまだに人工細胞研究の定番である。一方,2009年,細胞生物学では,線虫の胚に存在するP顆粒(RNAとタンパク質の複合体)が,ドレッシング中に分散する油滴のよう...
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