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合成化学は医薬品やプラスチック製品,エレクトロニクス材料等,身の回りで役立つ有用な機能性物質の創生により,社会への貢献を果たしてきた。近年,それらの素材・製品等の更なる高付加価値化など,あらゆる場面で合成技術の高度化が求められている。中でも複雑な構造の有機分子や高分子の精密合成では,反応の選択性制御が重要となる。しかし,合成化学において望みの反応の選択性を獲得することは容易でない。反応の選択性は,選択性に関与する各種反応間の反応速度論に基づき,その反応速度差に依存することになる。反応が比較的遅い場合,反応速度に明確な差があれば,反応速度論に基づいた選択的な反応の実現に繋がる。しかし,短時間で反応が進行する高速な反応においては,反応速度論に従った選択性を獲得することは必ずしも容易でない。 ではなぜ,高速な反応は,反応速度論に基づいた選択性を享受できない場合があり得るのだろうか。その要因は,熱伝達と物質移動にある。反応速度論が成り立つためには,①反応系が瞬時に完全な均一系となること(物資移動),②反応液自身が常に所定の温度に完全制御されていること(熱移動),が大前提として必要となる。しかし,合成化学で一般的に使...
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