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人間がおこなう産業・生活活動からは様々な物質が環境中に排出されている。周知の通り,二酸化炭素は温室効果ガスであり,世界が一丸となりその排出量削減を進めている1)。海洋プラスチックなども,近年急激にその影響の議論が進んでいる2)。窒素化合物についても,同様に環境への影響に関する課題は大きい。日本でも古くは湖沼・海の富栄養化や酸性雨,近年ではPM2.5などが環境の課題として取り上げられるが,これらの主要因の一つとして,NOx,アンモニアなどの窒素化合物排出が知られている。 特に,2009年に発表されたプラネタリーバウンダリーにおいて,窒素化合物の課題はよりクローズアップされた。プラネタリーバウンダリーとは,様々な人為的な環境影響について,その現状が,地球の回復力の範囲内なのか,それを超えてしまっているのかを指標化したものである(図1)。その中で,窒素の生物圏への流入は,生物圏における絶滅の速度と並び,地球の回復力を超え,回復不可能な変化を発生させるリスクが最も高い,と評価されている3, 4)。そのリスクは,CO2やN2Oが引き起こす気候変動や,しばしば窒素と同列に語られるリンと比べても高いと評価されている。 ...
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