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2022 Vol.86 No.5 特集

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特集 リポソームの膜物性および経皮吸収性に及ぼすヘキシルデシルリン酸アルギニンの影響

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特集

経皮吸収型製剤 ~皮膚の浸透促進と化学工学の接点~
経皮吸収型製剤の現状と将来展望

 皮膚に塗ったり,貼ったりする薬が経皮吸収型製剤である。一般には,湿布薬や喘息用のテープ剤などが広く知られている。一方最近では,様々なバイオ医薬品に対して,安全性や非侵襲性に優れた薬物投与法として,この経皮吸収型製剤が注目されている。ペプチドやタンパク質などのバイオ医薬品は,経口薬にすることが困難なため,そのほとんどは注射で投与されている。今日世界的な流行を見せているコロナ感染症のワクチンも,現在全て注射投与となっている。もし,このようなワクチンの経皮投与が可能となれば,持続的な薬物放出特性により長期間の免疫誘導が期待でき,また,薬物の血中濃度を安定化させることができる。このため,注射の初期バースト時に見られるアナフィラキシー等の発生抑制も期待でき,たとえ副反応が発生しても投与の中断が可能となる。更に,経口投与と比較しても,消化管や肝臓の通過を回避でき,皮膚にタンパク質分解酵素が存在しないため,抗原の分解を心配する必要がない。また,皮膚中には抗原提示細胞など免疫を司る細胞が豊富に存在することから,低用量で高いワクチン効果を得ることが期待できる。  以上のように,経皮投与法には多くの利点が存在し,近年盛んに研究が...

後藤 雅宏
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後藤 雅宏

Current Status and Future Prospects of Transdermal Drug Delivery System

Masahiro GOTO(正会員)

  • 1989年 九州大学大学院工学研究科博士課程修了 工学博士 2012年 九州大学 次世代経皮吸収研究センター長

  • 九州大学大学院工学研究院応用化学部門 主幹教授

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Online ISSN : 2435-2292

Print ISSN : 0375-9253

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