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リポソームとは主にリン脂質からなる閉鎖小胞体である。リン脂質からなるリポソームは古くからDDSキャリアとして多くの研究がなされており,水溶性や油溶性の成分をその構造内部へ保持できることから化粧品にも応用されている1)。一般にリン脂質は相転移温度が皮膚温より高く,リポソーム製剤の皮膚適用時においても固体状態であることから,皮膚表面で内包物質を放出しにくい。一方でラメラ液晶は疎水基が溶融した状態で存在していることから流動性が高く内包物質の放出性に優れる。つまり,リン脂質単独のリポソームはラメラ液晶特有の膜物性を発揮しているとは言い難い2)。また,リポソーム膜が固体状態であると角層上で崩壊しにくいため,内包物質の経皮吸収性は低いと考えられる。一方,ヘキシルデシルリン酸アルギニン(NIKKOL ピュアフォス LC,以下PLC,日光ケミカルズ(株)製)は皮膚温付近で安定にラメラ液晶を形成する界面活性剤である3)ことから,PLCを添加したリポソームでは膜物性および経皮吸収性が変化する可能性がある。図1にPLCの構造式を示す。そこで,リン脂質とPLCを任意の割合で混合したリポソームを用いて相転移温度および経皮吸収性を評価し...
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