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化学プラントにおける炭素鋼（鉄と炭素の合金）製機器では腐食防止のため，表面に防食コーティングがなされる。防食コーティングは永久的なものではなく，定期的にメンテナンスがおこなわれるが，環境的要因，装置の構造的要因，あるいは点検の見落としなどの人的要因から，コーティングが劣化し，炭素鋼の腐食が生じ，重大な事故に繋がる。防食コーティングでは，通常は顔料を混合させて，水分や酸素の遮断性を高めたり，ハードコーティングにより機械的作用による傷の防止を図る。ところが，このような処理をおこなっていても，設計値以上の機械的あるいは化学的な外力が働き，金属素地に達する傷が生じると，金属が環境に晒され，腐食が生じてしまう。この腐食反応が自然に止まる機能を持ったコーティングが自己修復性防食コーティングである。修復プロセスについては図1に示すように，コーティングに傷が生じた場合，コーティング内部から修復成分が溶出する。それが傷部に達し，2次皮膜を形成し，露出された金属と環境とを遮断する。この皮膜が緻密であれば，腐食の進行を止めることができる。筆者はこれまでに，フッ素樹脂塗膜1），微粒子コンポジット2），ナノ粒子と有機補修剤3），高分子...
Online ISSN : 2435-2292
Print ISSN : 0375-9253
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