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2022 Vol.86 No.12 巻頭言

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巻頭言

生まれ変わるJournal of Chemical Engineering of Japan

 Journal of Chemical Engineering of JapanJCEJは,化学工学会が1968年から発行を続けている英文論文誌です。これまでに国内外から投稿された多くの論文が掲載され,学術の発展に寄与してきました。発行当初は年に2回のみの発行でしたが,次第に論文数が増え,現在では毎月発行されています。冊子体に加えて科学技術振興機構が運営するJ-Stage上で電子版も公開しています。JCEJは審査が迅速,且つ厳格であり良質な論文が多く掲載されているとの評価を海外の研究者から受けています。これは論文を投稿してくださる方々だけでなく,審査にご協力頂いている多くの皆様のおかげで得ることのできた評価です。厚くお礼申し上げます。

 化学工学会では,JCEJを世界のより多くの方に読んでもらえるようにする方法について長い間検討を重ねてきました。現行の制度でJCEJの論文に自由にアクセスするには,購読料を支払う必要があり,読者の数は限定されがちです。一方,米国,カナダ,英国,中国,韓国,台湾のいずれの化学工学会も海外の大手出版社から英文論文誌を出版し,多くの読者獲得に成功しています。

 以上の状況を鑑み,JCEJは2023年より,国際的な学術出版社として著名なTaylor & Francis社から発行することになりました。海外出版社への移行により,世界中のより多くの研究者がJCEJの読者になることが期待されます。雑誌の知名度を上げるためには広報活動が欠かせません。JCEJではこれまでも国際会議やSNSを通じた広報活動をおこなってきましたが,今後はTaylor & Francis社によってより活発に展開されていく予定です。

 更に,出版社移行と同時に掲載論文をオープンアクセス(OA)とすることになりました。全ての論文をOAにするのは非常に大きな変革です。これにより購読料を支払う必要はなく,インターネット上に公開されたJCEJの論文を誰でも無料で読めるようになります。これまでは,学術雑誌は読者が購読料を支払って読むのが当たり前でした。ところが購読料の急速な値上がりが世界的な問題となり,国内の大学でも主要出版社から発行される雑誌の購読を取りやめる事例が相次ぐようになりました。これは論文が単に読めなくなるというだけでなく,学術情報の広まりが阻害されるため成果公開の観点からも重大な問題です。このような背景のもと,2002年にBudapest Open Access InitiativeによってOAの定義が発表されたことを契機にOAの考え方が世界に広がりました。現在,科学技術振興機構や日本学術振興会はOAでの論文公開を推奨しています。海外では,論文を即時OA出版しないと成果として認めないとする研究助成機関があるほどです。OA化の気運の高まりを受け,購読料を徴収している多くの雑誌で,いわゆるハイブリッドOA制度が導入されました。これは,著者が料金を支払うことで個々の論文を無償公開できるというものです。しかし,ハイブリッドOAは,OA論文の掲載数が増えると購読料の意味が薄れるという問題があります。この問題が認識されながらも,購読料の徴収をやめて完全にOA化する雑誌は現在までほとんどありません。この度JCEJは完全OAとなりますが,これは各国の化学工学会が発行する学術誌としては世界に先駆けた動きです。なお,このような迅速な対応は今回だけではありません。今では当たり前になったDOIやORCIDとの連携もJCEJは世界に遅れることなく取り入れてきた雑誌であることもご紹介しておきます。

 JCEJの出版社移行に際してはOA化の他にも変更になる点がいくつかあります。移行後は電子版のみとなり,冊子体は発行されなくなります。新しく作成されるウェブサイトでは,論文のPDF版をダウンロードできるだけでなく,スマートフォンやタブレット端末にも対応し,どのようなデバイスでも読みやすい形で論文が表示されます。文章の読み上げ機能が付与される予定もあります。

 発刊から約半世紀を経てJCEJは大きく変わり生まれ変わります。出版社の移行とOA化によって国際的なプレゼンスが向上しその価値が益々高まると期待しています。皆様におかれましては,今後一層の投稿や閲覧を通じてJCEJをご愛顧くださいますようお願い致します。

外輪 健一郎
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外輪 健一郎

Reborn Journal of Chemical Engineering of Japan

Ken-Ichiro SOTOWA(正会員)

  • 1992年 広島大学工学部第Ⅲ類(化学系)卒業 1997年 英国Leeds大学化学工学科博士課程修了 Ph.D. 同 年 京都大学大学院工学研究科化学工学専攻 博士研究員 2001年 九州大学大学院工学研究院応用化学部門 助手 2004年 徳島大学工学部化学応用工学科 講師 2012年 徳島大学大学院ソシオテクノサイエンス研究部 教授 2019年 京都大学大学院工学研究科化学工学専攻 教授 2021年 化学工学会 論文誌編集委員長 現在に至る

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Online ISSN : 2435-2292

Print ISSN : 0375-9253

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