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多種多様な材料データとデータ科学・計算科学の先進技術を組み合わせ,広大な設計空間から所望の特性を有する新材料やその作製方法を明らかにする。これがマテリアルズインフォマティクス(MI)という新学際領域のミッション定義である。データ駆動型研究において最も重要な資源は言うまでもなくデータである。しかしながら,昨今の画像生成AIや大規模言語モデルのようなデータ科学の華々しい世界に比べると,材料研究のデータ資源は極めて乏しい。その原因として,実験に要するコストが高いこと,競合相手に対する情報秘匿の意識が高く,コミュニティが協力して基盤データを創出しようという機運が生まれにくいことなどが挙げられる。また,そもそも革新的な材料の周辺にはデータは存在しないという事実がある。当然ながら,データが存在しない未踏領域では,データ科学の“内挿的な予測”の有効性は低下する。従って,原理的には,単純なデータ駆動型研究では,真に革新的な材料の発見は実現できない。すなわち,MIが抱える問題の本質は,データがないということである。 このようにMIの研究者は,常々データ不足のストレスに晒されている。本稿では,限られた材料データの壁を乗り越える...
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