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下水処理場は,従来の排水処理システムの中核としての役割に加え,エネルギーと資源の供給拠点としての役割に期待が高まっている。その点に着目し,下水道事業を所管する国土交通省では,かねてより下水道資源を農と食に繋げる「BISTRO下水道」というユニークな取り組みをおこなっており,近年着実な広がりを見せている1)。一方で,農林水産省は2021年度に「みどりの食料システム戦略」を策定し,その中で下水道資源の有効活用の方向性を打ち出した。 下水道資源の利用には熱,バイオマス,栄養塩,および水資源など,様々な方法がある。その中で,下水を処理した後に生じる下水処理水には,窒素・リン・カリウムなどの栄養塩が含まれるものの,これらの農業利用は積極的におこなわれていない。それどころか,水環境の富栄養化防止を目的として,必要に応じて処理過程でエネルギーを投じ,これらの栄養塩を除去している。従って,下水処理水に含まれる栄養塩を作物栽培に利用する技術を確立することができれば,地域資源の循環による農業の自立,下水処理場における省エネ,および水環境の保全が可能になると期待される。 以上を背景に,筆者らは秋田をフィールドとして2017年よ...
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