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塗布は液体を微粒化または薄膜化し,基材の表面にその液体を転写する操作である。微粒化を利用した手法として,スプレー塗布やインクジェット塗布がある。また,薄膜化を利用した手法として,ロール塗布やカーテン塗布がある。いずれの手法においても,その数値解析では気液の自由表面の運動を扱う必要がある。本稿では,後者の薄膜化を利用した手法のうちカーテン塗布を例に,気液の自由表面運動を伴う塗布工程の直接数値シミュレーションについて紹介する。 塗布工程の数値流体解析(CFD:Computational Fluid Dynamics)は,1980年代には既にミネソタ大学Scriven教授が率いる研究グループによって始められている1, 2)。我が国においても1990年代から様々な塗布方式に対してCFDを利用した研究がおこなわれてきた3)。CFDは,塗布工程の現象解析および最適操作条件の探索等において極めて有効な手段であることに疑いはないが,通常の流体解析とは異なり,特有の困難さがある。塗布工程自身のスケールがメートルオーダーであるのに対し,塗布膜のスケールが数ミクロンから数十ミクロン程度であることから,塗布はマルチスケールな現象で...
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