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社会の低炭素化,脱炭素化が叫ばれる中,石炭の利用は最先端の転換技術をもってしても逆風の真っ只中にある。例えば,日本政府はこれまで一定条件を満たした石炭火力設備の輸出に対して,国際協力銀行の低利融資等による輸出コスト引き下げを支援してきたが,如何なる石炭利用も温暖化ガス排出を長期間固定化するとの理由によって英国,米国をはじめとする国際社会からの批判を受けている。国内メガバンクによる石炭火力新設への投融資の原則停止(2019~2020)も記憶に新しい。 石炭転換によって不可避的に発生するCO2を分離回収し,地中に貯留するcarbon capture and storage(CCS)技術は,現状では,石炭利用が今後許容されるための必須条件であるように見えるが,一方,太陽光,風力等の再生可能エネルギー(再エネ)に由来する電力の低価格化が世界的に進んでおり,実現できないリスクがあるだけでなく実現できても割高になる石炭利用,さらには石油や天然ガスを併せた化石資源の利用をできるだけ早期に停止し,再エネのみでエネルギー需要を賄う社会を実現すべきとの意見が主流になりつつあるように見える。エネルギー需給の長期的な構造変化への過...
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