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2021年10月より,医療用のSARS-CoV-2抗原検出用キットが薬局で購入できるようになり,その有効性と共に使用上の注意点がマスメディアでも頻繁に取り上げられるようになった。抗原検出キットは,鼻の奥のぬぐい液などの検体を抽出液で希釈後,キット上の所定の場所に数滴垂らすことで,検体中に一定濃度以上のウイルスが含まれている場合,数分〜数十分後に赤色や青色のラインがキットの所定部(テストライン)に現れて,目視で陽性を確認できるという簡便なものである。抗原検査は,抗原であるウイルス(正確には,ウイルス表面上のタンパク質の一部)を,その抗原と特異的に結合する抗体を用いて検出する免疫測定法を,クロマトグラフィーの原理を利用して簡便・迅速におこなえるようにしたもので,イムノクロマト法とも呼ばれている(図1)。赤色や青色などのラインは,表面プラズモン共鳴によって発色する金属ナノ粒子(金ナノ粒子など)や着色ラテックスナノ粒子で標識された抗体がウイルスと結合後,メンブレン基板上のキャプチャー抗体に結合して集積したもので,集積を目視で確認できれば陽性と判断する。もう一つの代表的なウイルス検出法である,リアルタイムPCR法と比べ...
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