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筆者が化学工学科の学生だった頃,電機系企業に就職した先輩が,半導体工場の歩留まり(良品率)が制御不能な変動を示すことを,農作物の収穫が天候に左右されることになぞらえて「半導体農業論」と呼んでいた。昨今,半導体が国内で生産できないと我が国の産業全般が危うくなるという議論があり,これは食糧の自給率を維持向上しないと国民の生活が危うくなるという長年の議論を想起させる。現在の半導体産業は,昔の「半導体農業論」とは別の意味で農業に似ているのかもしれない。実際,半導体はあらゆる産業に必要不可欠であるため,「産業のコメ」に例えられることが多い。 化学工学分野の方々の半導体についての第一の関心事は,デバイス製造に使われる材料やプロセス技術が今後どのように進展していくのかであろう。この半導体技術の将来像は,当然のことながら,将来の社会や産業のニーズがどのようなコンピューティングや情報通信を求めるのか,そしてそれらの情報処理技術がどのような市場やユースケースを創り出すのかによって決まるものである。 経済産業省が2020年5月に発表した「産業技術ビジョン2020」では,Society 5.0を支えるデジタルテクノロジーの一つと...
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