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2024 Vol.88 No.3

巻頭言

特集

イオン液体と化学工学

 室温付近に融点を有し,大気環境下で安定な「イオン液体(ionic liquid)」が報告されてから,30年近くが経過した。それまで,電気化学分野を中心に室温域で“イオンからなるこの液体”は「溶融塩」もしくは「融解塩」という用語で,電池用もしくは電析用電解質向けに研究されてきたが,2000年代に入り,「イオン液体」に統一されてきた。イオン液体は分子性液体にはない,揮発しない,燃えない溶媒で,さらには,グリーンサスティナブルケミストリーの考え方に合う溶媒として,有機化学分野や物理化学分野など様々な分野で盛んに研究されるようになっていた。化学工学分野でも,基礎物性から用途開発まで,幅広く発表されている。
 本特集では,化学工学分野で活発に発表されている分離工学,界面現象,生物化学工学などを中心に,それらの理論および用途開発を身近な事例を交えながら紹介することで,イオン液体が化学工学に新たに寄与できる点を考えるきっかけとする。

(編集担当:宇井幸一・岡本尚樹)

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