現在新型コロナウイルス（SARS-CoV-2）のパンデミックが社会に大きな混乱をもたらしているが，このような新規の感染症のみならず，がん，循環器疾患，生活習慣病などの様々な疾患に対応する上で，それらを早期に発見し診断をおこなうことは極めて重要である。様々な疾患に対して人類もまた，10年前には考えられもしなかった多様な先進技術を手にしつつある。本特集では，近年目覚ましい革新が進んでいる医療診断技術として，体内を循環する稀少な細胞や細胞外小胞を効率的に分離・検出し診断に利用する「液体生検（リキッドバイオプシー）」，微細加工技術や微小流体デバイス技術を駆使してウイルスや疾患の迅速な判定をおこなう「Point-of-care testing（POCT）システム」，循環器疾患を予測するための「流体シミュレーション」，光学計測やウェアラブルセンシングなどの「非侵襲・低侵襲生体モニタリング」といった，化学工学とも関連の深い最新の話題を提供していただく。これらの先進技術が，人類が疾患との戦いを優位に進めるための一助となるように願い，本特集を企画した。

（編集担当：山田 真澄）

　化学プラントなどで使用される熱交換器は，化学業界だけでなく産業全般で活躍する重要機器である。また熱交換器は移動現象論で最初に勉強する機器であるが，化学工学の技術者はその機械的構造は必ずしも詳しくないという課題がある。そこで本特集は熱交換器の基礎理論や，選定，運転および管理のポイントをまとめ小特集として掲載する。合わせて代表的な熱交換器の導入事例および最新技術を特集し，若手技術者や学生にとって教科書となる企画とする。

（編集担当：遠藤　肇・岡﨑あづさ）